父と子と聖霊の御名によって。主の平和が皆さんとともにありますように。
主よ、憐れんでください。キリストよ、憐れんでください。主よ、憐れんでください。
私たちは皆、人生のどこかで、自分の手ではどうすることもできない壁に突き当たります。それは、どれほど賢く計画を立てても、どれほど愛を注いでも、その向こう側へは自分たちの力では行けないという、静かで冷たい壁です。今日の福音で、イエス様は「この世代は悪い世代だ。しるしを求めるが、預言者ヨナのしるしのほかには、何も与えられない」と語られました。人々は目に見える証拠や、納得できる答えを求めます。なぜ、あの子が? なぜ、こんなにも早く? 私たちもまた、毎日その「しるし」を求めて、空を見上げ、問いかけます。
ベンジャミン・ヴォ君という、あの聡明で優しい少年を想うとき、私は彼が愛した「飛行機」の姿を思い出します。ベン君は、空を飛ぶ巨大な鉄の塊が、なぜ重力に逆らって浮かび上がるのか、その理屈を誰よりも愛していました。彼は、AIのコードを書き、複雑な計算を解き、世界を論理的に理解しようとする探求心にあふれていました。しかし、彼が空を見上げるとき、そこに見ていたのは単なる物理法則だけではなかったはずです。彼は、その広大な空の向こう側に、自分の知性を超えた「約束」があることを、どこか直感的に知っていたのではないでしょうか。
アランさん、タオさん、そしてライアン君。ベン君が天へ帰ってから三ヶ月が経ちました。皆さんの心には、今も「なぜ」という問いが、出口のない迷路のように続いているかもしれません。愛する人を失ったとき、私たちは自分を責めます。「もっと何かできたのではないか」「何を見落としたのか」と。しかし、どうか今日、この聖なる沈黙の中で、その重荷を神様の御前に下ろしてください。イエス様が、生まれつき目の見えない人を見て「この人も、両親も罪を犯したわけではない」と言われたように、病というものは、誰の罰でもなく、人間のいかなる注意や配慮をも超えたところで訪れる、この世の悲しい神秘です。あなた方は何も見落としていません。あなた方は、ベン君にとって最高のパパであり、ママでした。彼が十五年間、これほどまでに愛され、世界中を旅して多くの喜びを感じることができたのは、ひとえにあなた方の献身のおかげです。神様はあなた方を決して責めてはおられません。むしろ、その深い献身のすべてをご存じであり、あなた方の涙の一滴一滴を御手で受け止めておられます。どうか、ご自身を赦してください。ベン君は、あなた方の愛という最高の土壌で育ち、その魂を美しく開花させました。それは、神様が望まれた通りの、完璧な人生でした。
今日の第一朗読で、聖パウロは「キリストはわたしたちを自由にするために、自由の身にしてくださった」と力強く宣言します。私たちは、自分の力で人生をコントロールし、結果を出すことで自分の価値を証明しようとする「奴隷」のような思いに縛られがちです。しかし、神様がベン君の人生を通して示してくださったのは、そのような計算とは無縁の「自由」でした。ベン君が叔父様の病を知ったとき、自分の大切にしていた貯金箱を「全部あげる」と申し出たあの瞬間を思い出してください。実際にその貯金箱を壊す必要はなかったし、お金がすべての解決策だったわけではありません。しかし、その「申し出」という行為そのものに、彼はすでに神の宴のホールに一番乗りで座っていたのです。彼は、自分の小さな手の中に握りしめていたものよりも、誰かの痛みを和らげることの方に、はるかに大きな喜びを見出していました。それは、損得勘定を捨て、ただ愛する人のために心を差し出すという、福音の真髄を生きる姿でした。彼は、すでに「自由な子」として生きていたのです。
ライアン君、お兄ちゃんは今もあなたのすぐそばにいます。あなたがこれから歩んでいく人生のどんな時も、お兄ちゃんは天国という一番高い空から、あの優しい笑顔で見守っています。あなたが笑い、自分の翼を広げて新しい空へと飛び立っていくこと。それこそが、お兄ちゃんにとって何よりの喜びです。悲しいときは、ふと空を見上げてみてください。お兄ちゃんが大好きだったあの飛行機が、雲の切れ間に航跡を描いていくように、あなたの歩む道を照らす光が必ず見つかります。あなたは一人ではありません。お兄ちゃんは、あなたが自分の人生という翼を広げ、愛と勇気をもって飛び立っていく姿を、天国から一番の特等席で応援してくれています。お兄ちゃんが遺した知恵や、夢や、優しさは、すべてあなたの中に受け継がれています。あなたは、その愛の継承者として、これからもお兄ちゃんが愛したこの世界を、より温かい場所にしていくことができるはずです。
私たちは、ヨナのしるしを求めます。それは、死を超えて命が続くという、神様の究極のしるしです。ベン君は今、そのしるしそのものとなりました。彼は、もう何も思い煩うことなく、神様の愛の中に安らいでいます。そして、彼は皆さんに、その安らぎを分かち合いたいと願っています。画面の向こうでこの祈りに心を合わせているすべての方々へ。もし今、あなたが深い悲しみの中にいるなら、どうか知ってください。あなたは一人ではありません。あなたの苦しみは、キリストの十字架と一つに結ばれています。神様は、あなたの涙をご存じです。どんなに暗い夜であっても、神様の愛は枯れることはありません。
今日、この祈りを終えてそれぞれの日常に戻るとき、ほんの少しだけでいいので、空を見上げてみてください。そして、自分を責める手を止めて、ただ深く息を吸い込んでみてください。ベンジャミンが教えてくれたように、ただ精一杯、今この瞬間を愛すること。それが、私たちにできる唯一の、そして最も美しい祈りです。愛は決して滅びません。ベンジャミンの愛も、皆さんの愛も、神様の愛の中で永遠に結ばれています。愛する皆さん、ベン君が遺してくれたその優しい心を、今日一日、誰か一人のために使ってみてください。誰かに微笑みかけること、誰かの話に耳を傾けること、あるいはただ、静かに誰かのために祈ること。それが、ベンジャミンが今の私たちに願っていることではないでしょうか。彼は、私たちが悲しみに沈むことよりも、私たちが再び愛し、再び歩みだすことを、天国から一番の笑顔で待っていてくれるはずです。平和の主が、アランさん、タオさん、ライアン君、そしてここに集うすべての人々に、深い癒やしと希望を注いでくださいますように。ベンジャミン・ヴォ君、あなたの美しい魂は、今、神様の無限の慈しみの中で永遠の安らぎの中にあります。どうか、あなたを愛してやまないご家族を、これからも優しく見守っていてください。アーメン。
For the intentions entrusted to Ben on our prayer wall:
At the Savior’s command and formed by divine teaching, we dare to say:
天におられるわたしたちの父よ、み名が聖とされますように。み国が来ますように。みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。 わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。わたしたちを誘惑におちいらせず、悪からお救いください。アーメン。
主があなたを祝福し、守ってくださいますように。主が御顔をあなたに向けて、平安を与えてくださいますように。
✝ 全能の神があなたを祝福し、父と、子と、聖霊の恵みがあなたとと もにありますように。アーメン。