父と子と聖霊の御名によって。主イエス・キリストの恵みと平和が、皆さんとともにありますように。
主よ、憐れんでください。 キリストよ、憐れんでください。 主よ、憐れんでください。
今日の第一朗読で、箴言の著者は神にこう祈ります。「虚偽と偽りを遠ざけてください。貧しくもせず、金持ちにもせず、ただ必要な糧でわたしを養ってください」。この祈りは、一見すると質素な願いのように聞こえますが、その核心には「神への絶対的な信頼」という、非常に鋭く、そして美しい真理が隠されています。私たちは皆、人生において「もっと多くを」と求めがちです。もっと健康があれば、もっと時間があれば、もっと確実な未来があれば、と。しかし、箴言は私たちに立ち止まるよう促します。神の言葉こそが盾であり、それ以上を付け加える必要はない。ただ今日という日を、神から与えられた糧で満たし、誠実に歩むこと。それが、私たちがこの世で迷子にならないための唯一の地図なのです。
今日の福音で、イエス様は十二使徒を派遣する際、彼らに「何も持つな」と命じられました。杖も、袋も、食べ物も、金も。二枚の肌着さえ持つなと。これは、使徒たちにとって、自分たちの計算や計画をすべて手放し、ただ神の摂理という大海原に身を投じることを意味していました。彼らが持っていくべき唯一のものは、イエス様から授かった「権威」と「使命」、そして神の言葉だけでした。この身軽さの中にこそ、真の自由があります。何かを所有し、何かで自分を守ろうとする必死な努力から解放されたとき、初めて彼らは、神がその村々で用意されている出会いと奇跡に集中できたのです。
ベンジャミン・ヴォ君という、十五年の輝く命を生きた少年のことを想うとき、私はこの「何も持たずに旅立つ」という姿に、彼の人生の美しさを重ね合わせます。ベンジャミンは、非常に鋭い知性を持っていました。数学の論理、AIの複雑な構造、そして空を飛ぶ飛行機の緻密な仕組み。彼は、この世界を論理的に、正確に理解しようと努めていました。しかし、彼が本当に大切にしていたものは、その知的な達成の先にある、純粋な「愛の捧げ物」でした。皆さんは覚えているでしょうか。彼が叔父様のために自分の貯金箱を差し出そうとしたあの出来事を。実際にそれを壊す必要はなかったとしても、彼が「僕の持っているすべてをあげたい」と願ったその心。その無私の願いは、まさに今日の福音でイエス様が求めた「何も持たずに旅立つ」使徒の心そのものでした。彼は、自分の手の中にある大切なものを、愛する人のために手放す準備が、いつでもできていたのです。
アランさん、タオさん、そしてライアン君。あの日、ベン君が天の父のもとへ帰ってから三ヶ月が経ちました。皆さんの心には、今もベン君の温もりが、まるで昨日のことのように鮮明に残っていることでしょう。しかし、夜の静寂の中で、時にその静けさが重苦しい問いかけに変わることもあるはずです。「なぜ、あんなに賢く、あんなに優しい子が」。あるいは、「もっと自分が気をつけていれば」「何か別の方法があったのではないか」という、自分を責める声が聞こえてくるかもしれません。どうか、今その声を止めてください。病というものは、誰の罰でもなく、人間のいかなる注意や配慮をも超えたところで訪れる、この世の悲しい神秘です。アランさん、タオさん、あなた方は何も見落としていません。あなた方は、彼にとって最高の両親であり、彼が十五年間、これほどまでに愛され、世界中を旅して多くの喜びを感じることができたのは、ひとえにあなた方の献身のおかげです。神様はあなた方を決して責めてはおられません。むしろ、その深い慈しみと献身のすべてをご存じであり、あなた方の涙の一滴一滴を御手で受け止めておられます。どうか、ご自身を赦してください。ベン君は、あなた方の愛という最高の土壌で育ち、その魂を美しく開花させました。彼は、神様が望まれた通りの、完璧な人生を駆け抜けたのです。
聖ピオ司祭は、その生涯を通して、神の言葉を自らの命の灯火として生きました。彼は、多くの人々が抱える重荷を、祈りと苦しみを通して神の慈しみの光へと変えていきました。ベンジャミンもまた、その短い生涯の中で、多くの人々の心を照らしました。彼が夢見た「コン・チム航空」という名前。それは、ただの空への憧れではなく、彼が家族と共に自由に、高く飛び続けたいと願った、愛の象徴だったのではないでしょうか。ライアン君、お兄ちゃんは今もあなたのすぐそばにいます。あなたがこれから歩んでいく人生のどんな時も、お兄ちゃんは天国という一番高い空から、あの優しい笑顔で見守っています。あなたが笑い、自分の翼を広げて新しい空へと飛び立っていくこと。それこそが、お兄ちゃんにとって何よりの喜びです。悲しいときは、ふと空を見上げてみてください。雲の切れ間から、お兄ちゃんが大好きだったあの飛行機が航跡を描いていくように、あなたの歩む道を照らす光が必ず見つかります。お兄ちゃんが遺した知恵や、夢や、優しさは、すべてあなたの中に受け継がれています。あなたは一人ではありません。お兄ちゃんは、あなたが自分の人生という翼を広げ、愛と勇気をもって飛び立っていく姿を、天国から一番の特等席で応援してくれています。
私たちは今日、ベンジャミンの人生を、消えてしまった光としてではなく、神の家族の一員として完成された命として捉える必要があります。彼は、自分の人生という飛行機を、神様が用意された航路に沿って、最後まで力強く飛ばし続けました。彼は、神の言葉を聴き、それを愛として生きるという、最も高い空を飛んでいたのです。今、彼はその旅を終え、神様の御前という、どこまでも広がる安らぎの地に着陸しています。そこには、もう痛みも、別れも、計算もありません。ただ、神様の溢れる愛と、ベン君のあの優しい笑顔だけが存在しています。
画面の向こうでこの祈りに心を合わせているすべての方々へ。もし今、あなたが深い悲しみの中にいるなら、どうか知ってください。あなたの苦しみは、キリストの十字架と一つに結ばれています。神様は、あなたの涙をご存じです。どんなに暗い夜であっても、神様の愛は枯れることはありません。ベンジャミンの人生は、たとえ短かったとしても、神様が用意された「愛の設計図」を完璧に描き切った人生でした。彼は、自分を愛し、家族を愛し、そして世界を愛することを、最後まで貫き通しました。今日、この祈りを終えてそれぞれの日常に戻るとき、ほんの少しだけでいいので、空を見上げてみてください。そして、自分を責める手を止めて、ただ深く息を吸い込んでみてください。ベンジャミンが教えてくれたように、ただ精一杯、今この瞬間を愛すること。それが、私たちにできる唯一の、そして最も美しい祈りです。愛は決して滅びません。ベンジャミンの愛も、皆さんの愛も、神様の愛の中で永遠に結ばれています。ベンジャミン・ヴォ君。あなたの美しい魂は、今、神様の無限の慈しみの中で永遠の安らぎの中にあります。あなたの遺した温かい愛の記憶は、私たちの心の中で消えることのない星として輝き続けます。どうか、あなたを愛してやまないご家族を、これからも優しく見守っていてください。平和の主が、アランさん、タオさん、ライアン君、そしてここに集うすべての人々に、深い癒やしと希望を注いでくださいますように。アーメン。
For the intentions entrusted to Ben on our prayer wall:
At the Savior’s command and formed by divine teaching, we dare to say:
天におられるわたしたちの父よ、み名が聖とされますように。み国が来ますように。みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。 わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。わたしたちを誘惑におちいらせず、悪からお救いください。アーメン。
主があなたを祝福し、あなたを守られますように。主が御顔をあなたに向けて、あなたを照らし、恵みを与えられますように。父と子と聖霊の御名によって。アーメン。
✝ 全能の神があなたを祝福し、父と、子と、聖霊の恵みがあなたとと もにありますように。アーメン。