父と子と聖霊の御名によって。愛する皆さん、主の平和が皆さんとともにありますように。
主よ、憐れんでください。 キリストよ、憐れんでください。 主よ、憐れんでください。
今日の福音の中で、弟子たちはイエス様にこう願います。「主よ、ヨハネが弟子たちに教えたように、わたしたちにも祈りを教えてください」。彼らは、イエス様が祈る姿をただ眺めていたのではありません。その背中から、父なる神との深い交わり、言葉を超えた親密さを感じ取ったのです。イエス様が教えてくださった「主の祈り」は、単なる定型句ではありません。それは、私たちが天の父と繋がるための、魂の呼吸です。
ベンジャミン・ヴォ君を想うとき、私は彼が家族と分かち合ったあの「静かな時間」に思いを馳せます。ベン君は、鋭い論理と技術への情熱を持つ少年でしたが、その心はいつも、父であるアランさん、母であるタオさん、そして弟のライアン君という、愛の輪の中にしっかりと守られていました。彼が飛行機に抱いた憧れ、空港で父と一緒に空を見上げたあのひととき。それらはすべて、彼にとっての祈りでした。彼が夢見た「コン・チム航空」という名前を呼ぶとき、彼の顔に浮かんだあの屈託のない笑顔。その笑顔は、神様が造られた世界の広大さと美しさを、そのまま受け入れる純粋な喜びの証でした。
今日の第一朗読で、聖パウロは「真理に沿って正しく歩んでいない」と激しく論争します。彼は、福音の真理を曲げようとする偽善を許しませんでした。パウロにとって、福音とは妥協のない愛の道です。しかし、パウロが最後に強調するのは、「貧しい人々を忘れないように」という一点です。これは、私たちがどれほど立派な理屈を並べても、隣人の苦しみを忘れるなら、その信仰は空虚であるという警告です。ベン君は、この「隣人を忘れない」という福音を、幼い頃からその身に宿していました。叔父様が病に倒れたとき、自分の大切にしていた貯金箱を「全部あげる」と申し出たあの姿。実際にその貯金箱を壊す必要はなかったとしても、彼が「僕の持っているすべてをあげたい」と心から願い、それを言葉にしたその瞬間に、彼の魂はすでに福音の真理そのものを生きていました。彼は、計算や損得を超えて、ただ愛する人のために心を差し出そうとしました。
アランさん、タオさん、そしてライアン君。ベン君が天へ帰ってから三ヶ月が過ぎました。皆さんの心には、今も「なぜ」という問いが渦巻いているかもしれません。なぜ、あんなに賢く、あんなに優しい子が、こんなにも早く旅立たなければならなかったのか。その問いは、かつてパウロがエルサレムで直面したような、激しい葛藤と孤独を伴うものでしょう。しかし、どうか今日、この聖なる沈黙の中で、その重荷を神様の御前に下ろしてください。多くの親御さんが、愛する子を失ったとき、自分を責めます。「もっと何かできたのではないか」「何を見落としたのか」。アランさん、タオさん、どうか聞いてください。イエス様が、生まれつき目の見えない人を見て「この人も、両親も罪を犯したわけではない」と言われたように、病というものは、誰の罰でもなく、人間のいかなる注意や配慮をも超えたところで訪れる、この世の悲しい神秘です。あなた方は何も見落としていません。あなた方は、ベン君にとって最高のパパであり、ママでした。彼が十五年間、これほどまでに愛され、世界中を旅して多くの喜びを感じることができたのは、ひとえにあなた方の献身のおかげです。神様はあなた方を決して責めてはおられません。むしろ、その深い献身のすべてをご存じであり、あなた方の涙の一滴一滴を御手で受け止めておられます。どうか、ご自身を赦してください。ベン君は、あなた方の愛という最高の土壌で育ち、その魂を美しく開花させました。
ライアン君、お兄ちゃんは今もあなたのすぐそばにいます。あなたがこれから歩んでいく人生のどんな時も、お兄ちゃんは天国という一番高い空から、あの優しい笑顔で見守っています。あなたが笑い、自分の翼を広げて新しい空へと飛び立っていくこと。それこそが、お兄ちゃんにとって何よりの喜びです。悲しいときは、ふと空を見上げてみてください。お兄ちゃんが大好きだったあの飛行機が、雲の切れ間に航跡を描いていくように、あなたの歩む道を照らす光が必ず見つかります。あなたは一人ではありません。お兄ちゃんは、あなたが自分の人生という翼を広げ、愛と勇気をもって飛び立っていく姿を、天国から一番の特等席で応援してくれています。お兄ちゃんが遺した知恵や、夢や、優しさは、すべてあなたの中に受け継がれています。あなたは、その愛の継承者として、これからもお兄ちゃんが愛したこの世界を、より温かい場所にしていくことができるはずです。
「父よ、御名が崇められますように」。今日、私たちが唱える主の祈りの言葉は、ベンジャミンの人生そのものです。彼は、自分の短い人生を通して、神様の愛がいかに美しく、いかに力強いものであるかを、私たちに教えてくれました。彼が残した愛の記憶は、形あるものだけではありません。彼が家族に示した無条件の愛、彼が抱いた広い世界への好奇心、そして彼が周囲の人々を自然と笑顔にするあの温もり。これらすべては、神様の目には、壮大な祈りとして刻まれています。彼がこの世に残した愛の種は、今も静かに、しかし確実に芽吹いています。彼を想って行われる小さな慈しみの行い、彼を想って流される祈りの涙、それらはすべて、彼が植えられた神のぶどう畑から生まれる、豊かな実りです。
画面の向こうでこの祈りに心を合わせているすべての方々へ。もし今、あなたが深い悲しみの中にいるなら、どうか知ってください。あなたは一人ではありません。あなたの苦しみは、キリストの十字架と一つに結ばれています。神様は、あなたの涙をご存じです。どんなに暗い夜であっても、神様の愛は枯れることはありません。今日、この祈りを終えてそれぞれの日常に戻るとき、ほんの少しだけでいいので、空を見上げてみてください。そして、自分を責める手を止めて、ただ深く息を吸い込んでみてください。ベンジャミンが教えてくれたように、ただ精一杯、今この瞬間を愛すること。それが、私たちにできる唯一の、そして最も美しい祈りです。愛は決して滅びません。ベンジャミンの愛も、皆さんの愛も、神様の愛の中で永遠に結ばれています。
愛する皆さん、ベン君が遺してくれたその優しい心を、今日一日、誰か一人のために使ってみてください。誰かに微笑みかけること、誰かの話に耳を傾けること、あるいはただ、静かに誰かのために祈ること。それが、ベンジャミンが今の私たちに願っていることではないでしょうか。彼は、私たちが悲しみに沈むことよりも、私たちが再び愛し、再び歩みだすことを、天国から一番の笑顔で待っていてくれるはずです。平和の主が、アランさん、タオさん、ライアン君、そしてここに集うすべての人々に、深い癒やしと希望を注いでくださいますように。ベンジャミン・ヴォ君、あなたの美しい魂は、今、神様の無限の慈しみの中で永遠の安らぎの中にあります。どうか、あなたを愛してやまないご家族を、これからも優しく見守っていてください。アーメン。
For the intentions entrusted to Ben on our prayer wall:
At the Savior’s command and formed by divine teaching, we dare to say:
天におられるわたしたちの父よ、み名が聖とされますように。み国が来ますように。みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。 わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。わたしたちを誘惑におちいらせず、悪からお救いください。アーメン。
主の平和が皆さんとともにありますように。全能の神、父と子と聖霊が、皆さんに祝福を与え、支えてくださいますように。
✝ 全能の神があなたを祝福し、父と、子と、聖霊の恵みがあなたとと もにありますように。アーメン。