父と子と聖霊の御名によって。主の平和が、ここに集うすべての方と共にありますように。
主よ、憐れんでください。キリストよ、憐れんでください。主よ、憐れんでください。
私たちは今、まるで夜明け前の静かな滑走路に立ち、遠くから聞こえてくるエンジンの音に耳を澄ませるかのような、張り詰めた、しかしどこか神聖な空気の中にいます。ベンジャミン・ヴォ君が天の国へと旅立ってから四ヶ月。アランさん、タオさん、そしてライアン君。皆さんが日々、その不在の大きさに胸を締め付けられ、言葉にならない問いを抱えながら今日という日を迎えていることを、私たちは知っています。
今日の第一朗読で、聖パウロはひざまずいて祈ります。「キリストが信仰によってあなたがたの心に住み、愛に根ざし、愛にしっかりと立つことができるように」と。パウロは、この愛がどれほど広大で、どれほど深いかを理解する力を求めています。この愛は、人間の知性や論理をはるかに超えたものです。ベンジャミン君という少年を思い出すとき、私たちの心には、彼が持っていたあの驚くべき知性が浮かびます。彼は数学やAI、そしてクラウドインフラという、目に見えない複雑な仕組みを紐解くことに、大人顔負けの情熱を注いでいました。しかし、彼という存在の真の核心は、その「知性」というエンジンを動かしていた、純粋で温かい「心」にありました。
パウロが語る「キリストの愛」というイメージを、今日、ベンジャミン君の人生という滑走路に重ねてみましょう。彼は、飛行機を心から愛していました。特にボーイング737の流麗な姿や、空を駆けるその軌跡に、彼は自分の夢を重ねていました。彼が夢見ていた「コン・チム航空」。その名前を口にするたび、彼は少年のように目を輝かせ、小さくギグッとして笑いました。あの笑顔の中にこそ、神の愛が宿っていました。彼は、空という広大な空間に、自分自身の可能性と、神様が用意してくださった未来を見ていたのです。
ここで、私たちはあえて、皆さんの心を重くしているトゲについて語らねばなりません。愛する息子を失った親の胸には、どうしても拭い去れない問いが渦巻きます。「あの時、もっと何かできたのではないか」「自分の見落としがあったのではないか」。アランさん、タオさん、どうか今、その自責の念の石をご自身の胸からそっと下ろしてください。病というものは、人間のいかなる注意や配慮をも超えたところで訪れる、この世のあまりにも深い神秘です。イエス様は、生まれつき目の見えない人を見て「この人も、両親も罪を犯したわけではない」と言われました。あなた方は、ベンジャミンにとって最高のパパであり、ママでした。彼が十五年間、これほどまでに愛され、世界中を旅し、家族の温もりの中でその才能と優しさを花咲かせたのは、ひとえにあなた方の献身のたまものです。神様はあなた方を決して責めてはおられません。むしろ、その深い愛のすべてをご存じであり、あなた方の涙の一滴一滴を御手で優しく受け止めておられます。どうか、ご自身を赦してください。ベンジャミンは、あなた方の愛という最高の土壌で育ち、その魂を美しく開花させました。それは、神様が望まれた通りの、完璧な人生でした。
今日の福音で、イエス様は「私は地上に火を投じに来た。それが既に燃えていたら、どんなに良かったことか」と仰います。この「火」とは、破壊の炎ではありません。それは、愛という情熱の炎です。ベンジャミン君の人生は、まさにこの火を灯し続けた人生でした。かつて、叔父様が病に倒れられた時、まだ十五歳だったベンは、自分の全財産である貯金箱を「全部あげる」と申し出ました。実際にそれを壊す必要はなかったし、お金がすべての解決策だったわけでもありません。しかし、その「申し出」という行為そのものに、彼の魂の美しさがくっきりと表れていました。自分の手の中にあるものを握りしめるのではなく、大切な誰かのためにためらうことなく差し出そうとする心。それこそが、彼の心に刻まれた「キリストの愛」の炎でした。彼は、損得勘定を超えて愛することを、その短い人生のなかに深く刻み込んでいたのです。
ライアン君、お兄ちゃんは今もあなたのすぐそばにいます。あなたがこれから歩んでいく人生のどんな時も、お兄ちゃんは天国という一番高い空から、あの優しい笑顔で見守っています。あなたが笑い、自分の翼を広げて新しい空へと飛び立っていくこと。それこそが、お兄ちゃんにとって何よりの喜びです。悲しいときは、ふと空を見上げてみてください。お兄ちゃんが大好きだったあの飛行機が、雲の切れ間に航跡を描いていくように、あなたの歩む道を照らす光が必ず見つかります。あなたは一人ではありません。お兄ちゃんは、あなたが自分の人生という翼を広げ、愛と勇気をもって飛び立っていく姿を、天国から一番の特等席で応援しています。
画面の向こうでこの祈りに心を合わせているすべての方々へ。もし今、人生の重い十字架を背負い、夜の静けさの中で涙を流しているお父さん、お母さん、そして傷ついた子どもたちがいるなら、どうか知ってください。あなたは決して一人ではありません。あなたのその苦しみも、涙も、すべて神様の大きな愛のなかに包まれています。私たちは神のものであり、神様は決して私たちを見放すことはありません。今日、この祈りを終えてそれぞれの日常に戻るとき、ほんの少しだけでいいので、空を見上げてみてください。そして、自分を責める手を止めて、ただ深く息を吸い込んでみてください。ベンジャミンが教えてくれたように、目の前の人に優しい微笑みを向け、ただ今という瞬間を精一杯愛すること。それが、天国にいるベン君が今の私たちに願っていることです。平和の主が、アランさん、タオさん、ライアン君、そしてここに心を合わせるすべての人々に、深い癒やしと希望を注いでくださいますように。ベンジャミン・ヴォ君、あなたの美しい魂は、今、神様の無限の慈しみの中で永遠の安らぎの中にあります。どうか、あなたを愛してやまないご家族を、これからも優しく見守っていてください。アーメン。
For the intentions entrusted to Ben on our prayer wall:
At the Savior’s command and formed by divine teaching, we dare to say:
天におられるわたしたちの父よ、み名が聖とされますように。み国が来ますように。みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。 わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。わたしたちを誘惑におちいらせず、悪からお救いください。アーメン。
主があなたを祝福し、守ってくださいますように。主が御顔をあなたに向けて、平和を賜りますように。アーメン。
✝ 全能の神があなたを祝福し、父と、子と、聖霊の恵みがあなたとと もにありますように。アーメン。