父と子と聖霊の御名によって。愛する皆さん、神の慈しみと平和が皆さんとともにありますように。
主よ、憐れんでください。 キリストよ、憐れんでください。 主よ、憐れんでください。
静かな午後の光、あるいは誰かと食卓を囲む何気ないひとときを想像してみてください。そこには、言葉を交わさずとも通じ合う、温かい繋がりがあります。今日の第一朗読で、聖パウロは非常に鋭いことを言っています。「知識は傲慢にするが、愛は造り上げる」。私たちは、物事の仕組みや論理、あるいは「なぜ」という問いに対する答えを知ることで、自分を守ろうとします。特に、愛する人を失った悲しみの中にいるとき、私たちは必死に情報を集め、理屈を探し、何とかしてこの耐え難い現実を理解しようとします。しかし、パウロが語るように、どれほど知識を積み上げても、それだけでは私たちの心は造り上げられません。愛だけが、崩れかけた心を再び形作ることができるのです。
ベンジャミン・ヴォ君、私たちの愛するベン君の人生を思うとき、この「愛が造り上げる」という言葉が、彼の魂のありようと重なって見えてきます。ベン君は、数学やプログラミング、AIの仕組みといった、非常に論理的で知的な世界を愛していました。まだ幼い頃から、彼は複雑なシステムを理解し、自分の手でゲームやアプリケーションをコードする才能を持っていました。しかし、彼の周囲にいた人々が誰よりも深く心に刻んでいるのは、彼の知性よりも、その知性を包み込んでいた「優しい心」です。彼は、自分の能力を誇るためではなく、誰かを喜ばせるために使おうとする少年でした。
皆さん、あるとき、ベン君が叔父様のために自分の貯金箱を差し出そうとしたことを覚えていますか。叔父様が病で苦しんでいると知ったとき、彼はためらうことなく、自分の持っているすべてを差し出そうとしました。実際に貯金箱を開ける必要はなかったとしても、彼が「僕のすべてをあげたい」と願ったその心こそが、神様が私たちに求めておられる愛の形です。彼は、自分の持っているものを握りしめるのではなく、愛する人のために手を開くことを知っていました。その純粋な差し出す心は、今もなお、カマウの地に建てられた「愛の井戸」となって、見知らぬ人々の渇きを癒やし続けています。ベン君の愛は、十五年という短い生涯を超えて、今もこの世界で静かに、しかし確実に流れ続けているのです。
アランさん、タオさん、そしてライアン君。ベン君が旅立ってから二ヶ月が過ぎました。今もなお、朝起きたときや、夜ふと静寂が訪れるたびに、ベン君の存在を求める渇きがあなた方を襲うことでしょう。特に、彼が大好きだった飛行機や、家族で旅した思い出の風景を目にするとき、胸が締め付けられるような痛みを感じるはずです。時には、「なぜ、あんなにも聡明で、優しい魂が、これほど早く旅立たなければならなかったのか」という問いが、心の中で渦巻くのではないでしょうか。時には、自分自身を責める声が聞こえてくることもあるかもしれません。「もっと何かできたのではないか」「もっと早く気づいていれば」と。アランさん、タオさん、どうか今日、その重すぎる石を心から下ろしてください。ベン君の旅立ちは、あなた方の落ち度ではありません。病は、誰の罰でもなく、人間のいかなる注意や配慮をも超えたところで訪れる、この世の悲しい神秘の一部です。神様はあなた方を決して責めてはおられません。むしろ、ベン君という輝く魂を、十五年間、これ以上ないほどの深い慈しみで育み、彼が愛に満ちた人生を送れるよう支え続けたあなた方のその親としての手を、神様は誰よりも尊び、祝福しておられます。あなた方は、ベン君にとって最高の両親でした。何も見落としてはいません。何も間違っていません。ただ、神様が彼を愛し、ご自身の懐へと招かれたのです。
今日の福音で、イエス様はさらに一歩踏み込んで教えておられます。「敵を愛し、自分を憎む者に親切にしなさい」。この言葉は、私たちの理屈を超えています。誰かを愛することは、見返りを求めることではありません。それは、ただ神様から受けた愛を、隣人へと流し続けることです。ベン君は、まさにこの「見返りを求めない愛」を、家族の中で体現していました。彼が「コン・チム航空」という夢を語り、そのたびに屈託のない笑顔を見せていたとき、彼は自分自身の喜びを、家族の喜びと分かち合っていました。彼は、自分の命が神様から預かった大切な贈り物であることを、言葉以上にその生き方で示していたのです。神様は、ベン君のような優しい魂をとおして、私たちに「愛とは何か」を教えようとしておられるのかもしれません。
弟のライアン君。お兄ちゃんは今もあなたのすぐそばにいます。あなたがこれから歩んでいく人生のどんな時も、お兄ちゃんは天国から「ライアン、頑張れ」と優しい眼差しを向けています。あなたが笑い、幸せに生きること。それこそが、お兄ちゃんにとっての何よりの喜びです。お兄ちゃんが大好きだったあの空の向こうで、彼はあなたの成長を、誰よりも誇らしく見守っています。悲しいときは、お兄ちゃんが大好きだった飛行機の模型を眺めたり、一緒に過ごしたあの楽しい時間を思い出したりしてみてください。そこには、お兄ちゃんの優しい笑顔が、今も変わらず広がっています。
画面を通してこの祈りを捧げているすべての皆さま。今、深い悲しみの中にいるご家族、そして病と闘っている子供たち。神様は、あなたの流す涙を一滴も無駄にされません。私たちの人生がどれほど未完成に思えても、神様はそこに新しい命の穂を実らせ、私たちを養ってくださいます。今日、この祈りを終えて日常に戻るとき、一つだけ心に留めてください。それは、自分の力で何とかしようと焦るのではなく、ただ神様の言葉に身を委ねてみるということです。ベン君という愛を胸に、もう一度、神様の愛という海に網を投げ入れてみてください。そこには必ず、あなたの想像を超える神様の慰めと愛が、豊かに満ちているはずです。
ベンジャミン・ヴォ君。あなたの美しい魂は、今、神様の無限の慈しみの中で安らぎの中にあります。あなたの遺した温かい愛の記憶は、私たちの心の中で決して消えることのない光として輝き続けます。どうか、あなたを愛してやまないご家族を、これからも優しく見守っていてください。平和の主が、アランさん、タオさん、ライアン君、そしてここに集うすべての人々に、深い癒やしと希望を注いでくださいますように。聖母マリアが、悲しみの中にあるすべての母たちの涙を拭い、その心に天国の平和を運んでくださいますように。アーメン。
For the intentions entrusted to Ben on our prayer wall:
At the Savior’s command and formed by divine teaching, we dare to say:
天におられるわたしたちの父よ、み名が聖とされますように。み国が来ますように。みこころが天に行われるとおり地にも行われますように。 わたしたちの日ごとの糧を今日もお与えください。わたしたちの罪をおゆるしください。わたしたちも人をゆるします。わたしたちを誘惑におちいらせず、悪からお救いください。アーメン。
主があなたを祝福し、守ってくださいますように。主が御顔をあなたに向けて、平和を賜りますように。
✝ 全能の神があなたを祝福し、父と、子と、聖霊の恵みがあなたとと もにありますように。アーメン。